伊邪那美命国土生 のバックアップ(No.3)


伊邪那美命国土生 イザナミの命 くにうみ
 古事記伝は三つの段(くだり)に分かつ
 今の世は一般に「国生み」とまとめる ここでは国土(くに)生みとしておく

淤能碁呂嶋の段 / おのごろじま の段

 
是(こゝ)に天神(あまつかみ) 諸(もろもろ)の命(みこと)もちて
イザナギノミコト・イザナミノミコト 二柱の神に「是(この)ただよへる国を修理(つくり)固め成せ」
天沼矛(あまのぬぼこ)を賜ひて 言(こと)依(よ)さしたまひき
故(かれ)二柱の神 天浮橋(あまのうきはし)に立たして その沼矛を指し下ろして かきたまへば
塩(しほ)こをろこをろに かきなして 引き上げたまふ時に その矛の末(さき)より滴(しただ)る塩
累積(つもり)て嶋と成る これオノゴロシマなり
 
天津神 あまつかみ
地上の神との対比として 天(あま)の神 「つ」は「の」の意味
別天神は身を隠したとあり どの神かは不明
記伝五柱の別天神
まんがおもに神世七代の夫婦神5組

 天つ神の名の初出 ここではイザナギより前に表はれた16柱のうちの誰か
 のちには高天の原の神を指すことが多い

 
天沼矛 あまのぬぼこ
天つ神の差し出した天の沼矛 詳細不明:人工物 天然の結晶 偶然の産物
記伝(書紀に書ける字を思ふに) ヌは玉なり 玉以て餝(かざ)れる矛なり
まんがイザナギ・イザナミより前に 人工物はない
別天神が数十億年かかって得られた形としておく
素材世界的には銅の時代から鉄の時代に移り変はる
日本ではともに伝はり実用品は鉄 祭器は銅とに分かれる
天の沼矛は一般的に銅(青銅)に描かれる
 
天浮橋 あまのうきはし
記伝天(あめ)と地(つち)の間を 神たちの昇降(のぼりくだ)り通ひ賜ふ路にかゝれる橋なり
虚空中(おほぞら)に浮き脂の如くたゞよへるもの一屯(ひとむら)の物の中へ指下ろしたまふなり
鹽(しほ)は潮(しほ)なり 和名抄に潮(うしほ)
一般に 虹や雲の上から海をかき回す絵に書かれる
 
 
オノゴロシマ

[古事記:島] オノゴロシマ
・イザナギイザナミが海をかきなした天沼矛よりしただりおちた塩よりなった島 神に非ず
・オノゴロシマに降り立ち イザナギイザナミは天の御柱・八尋殿 みとのまぐはひ
・オノゴロシマにてイザナギイザナミの国生み
・(おそらくオノゴロシマ) イザナギイザナミの神産み
・本文にイザナミの産みし嶋に非ずとあり

[古事記伝] オノゴロシマ
・自ら凝れる嶋なり 大八州国の成るべき基(もとゐ)なり

[日本書紀] オノゴロシマ
・4-本文
・4-1
・4-2
・4-3
・4-4
・4-8

[画題]
・これより島を生むための胞(え 胎盤)と解される
・神(生き物)なのか 島(物質 無生物)なのか不明
・イザナギ退場後 オノゴロシマにのりて世界の海を駆け巡る

[クヂラ]

 
ヒルコ

[古事記:18] ヒルコ
・イザナギイザナミ 初めての子
・葦舟に入れて流し去(す)てつ
・子の数に入いらず

[古事記伝] ヒルゴ
・神つ代に水蛭(ひる)に似たる兒(こ)をいひし稱(な)なり

[日本書紀] ヒルコ
・アマテラス・スサノヲと並びて生まれ 船に載せて棄つ (子の数に入れないとは書かれていない)
・4-本文 国生み ここにはヒルコなし
・4-1 古事記とほぼ同じ ヒルコ あしのふね アハノシマ
・4-10 アハヂノシマ・ヒルコ あしのふね
・5-本文 オホヒルメノムチ(一書アマテラスオホミカミ)・ツキノカミ・ヒルコ・スサノヲ
 三歳(みとせ)になるまで脚猶し立たず あまのいはくすぶね
・5-2 ヒ・ツキ・ヒルコ・スサノヲ とりのいはくすふね 三歳に満(な)りぬれども脚尚し立たず

[画題]
・神とは書かれていないが 神と思はれる
・初めの子生みにしくじれども乗り越える 神話の定型
・古事記では島の並びにヒルコ 日本書紀では神の並びにヒルコ 三歳になるまで立たず
・日本書紀本文に アマテラスはヒルメと書かれており ヒルコは太陽神に関はる名との説あり
・むしろ浮き脂の如くに連なるものとも思へり
・大きすぎるものは目に見えざりき まんがでは星の神となる

[ササガニ]